7 #県外から就職した方のインタビュー

利用者さんの状態に合わせて安心、安全な生活を守ることが仕事

平井 旭 さん

勤務施設
特別養護老人ホーム万葉園(南相馬市)
就職時期
平成27年4月

Chapter.01

力強く生きてきた人を、敬い支えていきたい

生まれも育ちも大阪で、祖父母と一緒に生活をしていました。祖父母との同居を通じて、人はいつまでも元気で何でもできるわけではなく、やがては人の助けが必要となることを目の当たりにしていました。また、高校時代に電車で席を譲った年配の方に言われた感謝の言葉が心に響き、「ありがとう」と言われる仕事がしたいと思うようになりました。

高校卒業後にアルバイトをしながらホームヘルパー2級の資格取得を目指し、資格取得後は大阪の施設に就職しましたが、日々の業務に追われて利用者さんの気持ちを理解したり、尊敬の念をもって接することが難しくなっていました。そんな時に私自身の交通事故も重なってしまい、就職3年後に福祉の仕事から一時期離れることになりました。

その後、住み込みで始めた沖縄県での農業の仕事では、年配の方に「生きるために食べる。食べるために働く。働くから物が買える。お金がなければ食べ物は自分で海から捕ってくるしかない」と、生きることは大変なんだと改めて教わりました。そして色々なことを乗り越え力強く生きてきた年配の方を敬う気持ちを持てるようになり、再び介護の仕事に戻りたいと思うようになりました。

若いうちに日本中を見てみたいという思いもあって、これまで色々な地域で介護職としての経験を重ねてきました。東日本大震災発生の時は新潟県の介護施設で働いていましたが、介護職員応援事業(介護職員が不足している被災地の施設を支援するために全国から介護職員を派遣する事業)で南相馬市の施設に2週間派遣されました。そして、そのときに知り合った人との結婚を機会に福島で生活することを決めました。

※ホームヘルパー2級
2013年まで実施されていた訪問介護職員2級養成研修の別称。現在は後継資格として介護職員初任者研修に変更。

Chapter.02

利用者さんとの距離感を大切にし、利用者さんを守ることが自分の仕事

南相馬市の社会福祉法人南相馬福祉会に採用され、グループホーム石神に配属されました。2年勤務したあと、現在所属している特別養護老人ホーム万葉園へ異動となりました。利用者さんと接するときに気を付けていることは、ケアプランに基づいたサービスの提供と、施設の運営理念である「思いやりと気配り」に基づいたサービスを心がけています。

利用者さんには威圧感を与えないように笑顔で接し、話すスピードや目線の高さに気を付けていくことで、時間とともに話してくれる方も増え、利用者さんとの距離が近くなったと感じています。
しかし、介護の仕事はあくまでもチームでのケアであり個人プレイではないと思っているので、近づきすぎないように距離感を大事にしています。

これまで20年の介護職の経験から、施設でのサービスの内容が変わっても利用者さんを守ることには変わりないと思えるようになりました。自分がさせてもらっていることは、利用者さんの状態に合わせて、その人を守ることが仕事なんだと言えるようになりました。震災後時間経過とともに、より良いサービスが可能となり皆で取り組める途中の段階であることにやりがいを感じています。これからも福島の地で介護の仕事を続けていきたいと思っています。

Chapter.03

福島県の介護職を目指す方へのメッセージ

復興の力となるには色々な形がありますが、自分は現場の一介護職員として加わることでした。個人的には県外から福島にくることに迷っている人には、「待っています。一緒に頑張りましょう。」と伝えたいです。来てもらうことで地域の方とのコミュニケーションが広がり、県外の色々な話をしてもらうことで利用者さんや施設職員の刺激となり皆が元気になれると思っています。