23 #地域を支える方のインタビュー

田村市で保健・福祉の仕事をしたい人を手厚くサポートしたい

田村市 高齢福祉課 さん

取材時期
令和6年12月

-本会で行っている、福島県の相双地域等で介護等に従事する方に向けた奨学金貸付制度や就職支援金支給事業の他に、市町村独自で福祉で働き始めたい方を支援するための制度や取り組みがあります。
 今回は、その中の1つとして田村市で行っている支援について田村市高齢福祉課にお話をお聴きしました。

Chapter.01

地域の介護を支える人材育成が急務

 阿武隈高原の中央にある田村市は、2005年に滝根町、大越町、都路村、常葉町、船引町の旧5町村が合併して誕生しました。総人口は減少傾向が続いている一方で、65歳以上の人口比率(高齢化率)は増加傾向が続き、2024年には約38%に達しています。
 また、2025年には、いわゆる「団塊の世代」のすべての方々が75歳以上の後期高齢者となり、その先の2040年には「団塊ジュニア世代」が65歳以上となることから、今後も高齢化率の上昇が続くことが見込まれます。多くの市町村同様に今後、高齢者人口の増加に伴い介護サービスの需要がさらに増加・多様化することが想定される一方で、現役世代人口の減少が顕著となり、地域の介護を支える人的基盤やサービス基盤のより一層の充実・強化が大きな課題です。

Chapter.02

市独自の奨励金を始める

 そういった課題に対応するため新たに市内の保健・福祉施設へ就職した方に奨励金を交付する「田村市・保健福祉施設従業者就職奨励金」事業を2020年度に開始しました。
 介護福祉士、介護支援専門員、介護福祉士実務者研修(以下:実務者研修)修了者、介護職員初任者研修(以下:初任者研修)修了者といった介護の資格保有者の他、看護師や保育士も対象に継続して勤務した年数に応じて6年で最大100万円の奨励金を交付します。2024年3月末の時点で22名の方が利用していて、うち市外からの転入者は8名です。奨励金があることをきっかけとして田村市に就職をする方もおり一定の効果は感じていますが、ライフステージの変化など様々な理由で最終年度まで奨励金を受け取れない方もいます。また、まだまだ市内で保健・福祉関係に就職を希望される方が少ない状況です。

Chapter.03

チャレンジできるまち

 さらに田村市では、市役所内で初任者研修を実施することで通学の負担を軽減したり、初任者研修や実務者研修受講費の助成などを行っています。昨年度は、口腔ケアや介護予防体操、アンガーマネジメント、医療介護連携についてなど幅広い内容の研修を実施した他、介護職員の交流会を行うなど、市内で働く介護職員のキャリア形成に積極的に取り組んでいます。
 田村市が掲げるまちの将来像は「ワクワクがとまらない 自然とチャレンジがいきるまち 田村市」です。アウトドアレジャーが好きな方や、のびのびと子育てをしたい方にとっては魅力的な環境ですので、ぜひ移住・定住を含めて田村市で福祉の仕事に就くことをご検討いただきたいと思います。

Chapter.04

田村市で新たに踏み出す一歩

-市内にある、社会福祉法人田村福祉会 特別養護老人ホーム船引こぶし荘で働く、介護員の遠藤英佑さんにお話をお聴きしました。
 
 2022年9月に田村福祉会に入職しました。以前は県内の他の市で15年ほど介護の仕事をしていましたが、リフレッシュしたいという気持ちから一旦離職して6ゕ月ほどハローワークで職探しをしました。介護以外の職種も検討しましたが、田村福祉会は「これまでの職歴をキャリアとして換算する」と言ってくれたので、介護職に戻ることを決めました。
 当時は福島県の介護人材支援事業を利用してとても助かった記憶があります。支給される制服が届くまで職場で着用する新しい服や靴を揃える必要があったのですが、支援金を利用することで負担なく購入でき、気持ちよくスタートを切ることができました。介護の仕事は、利用者さんとのコミュニケーションを通していい関係をつくることがやりがいにもつながります。利用者さんからの「ありがとう」の言葉を励みにして、これからもがんばっていきたいと思っています。

あとがき

 これからの時代〝どこでも〟〝誰にでも〟必要とされているのが福祉です。新たな土地での生活をお考えの方はぜひ「福祉の仕事」に目を向けてみてください。(担当:橋本)