21 #地域を支える方のインタビュー

「ここの施設でよかった」「この人でよかった」と言われる介護をしたいから

南部 浩祐 さん

勤務施設
特別養護老人ホーム 相馬ホーム(相馬市)
就職時期
令和5年4月
取材時期
令和6年9月

Chapter.01

介護を目指したきっかけは祖母

 中学生の頃、同居していた祖母に介護が必要になって、訪問介護やショートステイを利用していました。祖母が亡くなって「自分自身にも何かできることがあったのではないか?」という思いがあり、介護の仕事を目指すようになりました。
 父は漁師をしています。周りには家業を継ぐ人もいましたが、私が親に「介護の仕事をしてみたい」と相談したら「好きなことを仕事にするのが一番」と背中を押してくれました。
 高校で福祉の職場のボランティアに参加したことで、介護の基礎を学び資格を取りたいと考え、仙台の専門学校に進学し、介護福祉士資格を取りました。専門学校で身につけた知識や技術は今とても役立っています。
 地元で就職することは以前から決めていて、かつて祖母がお世話になった「相馬ホーム」に就職しました。就職後に祖母を知る職員さんから話を聞いたり、家族とやりとりしていたノートを見る機会があり、祖母がここで楽しい時を過ごしていたんだなと思いました。

Chapter.02

大切にしていること

 海のそばで暮らしていた利用者さんが多いので、話を聞くときも馴染みのあるやりとりで共感できることがたくさんあります。
 仕事をする上で私が一番大切にしているのは、利用者さんの「尊厳を守る」ことです。例えば入浴介助の時に目に水が入らないように気を付けるなど、本当に小さな小さな気づかいを積み重ねて、信頼関係を築いていけるように心がけています。現在は、食事や入浴など、介護全般の仕事をしています。夜勤もありますが、利用者さんのほとんどは就寝しており、それほど負担には感じていません。
 利用者さんが、いつか人生の締めくくりを迎える時に「この施設でよかった」「この人でよかった」と受け止めてもらえることが目標です。そして、将来的には自分自身で介護施設を運営してみたいという大きな夢を描いています。

Chapter.03

まずは見学や体験に参加してほしい

 「仕事が大変だな」と思うことがあっても、私は利用者さんから感謝の言葉をかけられると、うれしさが上回るので、基本的に楽しく仕事をしています。とはいえ、人には向き不向きやその人ならではの役割があると思います。私は小さい頃からおじいちゃん、おばあちゃんの話を聞くのが好きだったので、中・高生の頃から介護の仕事をやってみたいと思っていました。
 今は核家族が多くて高齢者と接点がない人もいるので、少しでも介護に関心がある人は、近くの施設を見学したり体験してみることをおすすめします。利用者さんとコミュニケーションをとったり、働く場として施設の雰囲気を知ると、介護に対するイメージが変わるかもしれません。
 これから、どんなに介護ロボットが普及しても、介護現場にはマンパワーが必要不可欠です。そして介護職はリハビリ職や看護職など他部署とコミュニケーションをとり、連携して利用者さんをサポートする仕事です。女性が多い職場ですが、男性が必要とされる場面もたくさんあります。将来性という側面でも、〝介護〟という仕事は魅力的なのではないかなと思っています。

上司・同僚からの声

南部さんってどんな方?

同僚の方
 ともかくやさしくて、仕事が丁寧。利用者さん一人ひとりの思いを汲み取って、敬いながら接しているのがよく分かります。利用者さんからは「坊ちゃん!」と呼ばれて愛されています。
 私のように勤務年数の長い職員でも、南部さんの仕事ぶりを見ていると学ぶことが多く、介護の仕事の初心に帰ることができる貴重な存在です。
 私たちの職場には、10代から70代まで幅広い世代の人が働いています。職員の世代交代が進むなかで、新しく入ってきた職員さんたちを育てていける人になってほしいと思います。

あとがき

「良いことも悪いことも全部吸収して経験を活かしていきたい」と南部さん。まっすぐ前をみて話す姿が印象的でした。(川添)